ファシリテートGの「のり」です。
今回は、PMBOK第7版のプロジェクト・パフォーマンス領域のうち、不確かさパフォーマンス領域の概要についてお話します。
PMBOKでは、例えば天気などの予測不可能なものを「不確かさ」と称します。
不確かさパフォーマンス領域で示される活動とその期待される効果は以下の通りです。
① プロジェクト環境の認識
活動内容
不確かさやリスクの対応策を考慮する際に、プロジェクトの全体リスクに関する
事項(変動性、複雑さ、曖昧さなど)を取り入れます。
期待される効果
プロジェクトが行われる環境を正しく認識することができます。
② 不確かさの調査
活動内容
リスクを積極的に調査し、リスク登録簿などのマネジメントプロセスに従って管理
します。
期待される効果
リスク対応策が明確になっていれば、具体的なスコープ、スケジュール、コストの
計画に反映して実行することができます。
③ プロジェクト変数の相互依存性の認識
活動内容
タスクの完了状況、チームメンバーの役割、リソース使用状況などのプロジェクト
変数の依存関係を正しく認識します。
期待される効果
変動性、複雑さ、曖昧さに対処する活動が、プロジェクト規模などの特性に合わせた
適切なものになります。
④ 脅威や好機の予測
活動内容
脅威や好機の予測を通して、問題の因果関係を把握します。
期待される効果
リスク・マネジメント活動のプロセスが確立され、それに従って実行されます。
⑤ 予期しないイベントや条件からの悪影響の認識
活動内容
以下の活動を行います。
・ 最善策にとらわれず、次善策を検討する
・ プロジェクトの初期段階で複数の設計または代替案を検討する
・ 予期せぬ変化に適応し、迅速に対応するための指針を検討する
期待される効果
以下の可能性が高まります。
・ 約束した納品日に間に合う
・ 予算のしきい値内に収まる
・ 総合して顧客満足度を得られる
⑥ パフォーマンスと成果を改善する好機の利用
活動内容
好機と考えられるプラスのリスクに対して、エスカレーション、活用、共有、強化、
受容という5つの対処法を用いて対応します。
期待される効果
好機を特定して活用できます。
⑦ コスト・スケジュール予備の効果的な利用
活動内容
コスト・スケジュール予備の利用について、プロジェクト目標との整合性維持を意識
して利用します。
期待される効果
予算とスケジュールに関するバッファ設定、残余バッファの管理が適切に実施
されます。
★ 所感
不確かさに対応する昨今のトレンドとして、アジャイル開発が増えているという話は
聞くのですが、自分の周囲で見かけたことがほとんどありません。
これは私が銀行などの大規模で堅牢性の高いシステム開発のようなアジャイルに
不向きなプロジェクトに関与することが多いためでもありますが、不確かなことを
放置するようにも見えかねないアジャイルがなんとなく敬遠されているのではないか
とも考えています。
しっかり計画を立てて物事を進める日本人の性質に合っていないのかもしれません。
アジャイルが大規模開発に不向きという性質を解消するために「エンタープライズ
アジャイル」なるものも台頭しているものの、アジャイル開発には参加するメンバー
のアジャイルへの十分な理解が必須であるため、ここでもアジャイル、あそこでも
アジャイルという状態になるにはまだ時間がかかりそうです。
不確かさパフォーマンス領域についてのお話は以上となります。
Comments