自分の考えを相手に伝えるには?(第2回)
- かわうち

- 1 日前
- 読了時間: 6分
はじめに
こんにちはファシリテートGのかわうちです。 前回の記事では、山口拓郎さんの『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』を読んで、「言葉にできない原因は話し方ではなく、考えの整理不足にある」という気づきを紹介しました。
言語化には、
語彙力
具体化力
伝達力
という3つのステップがあることも学びました。
その中で、著者が特に重要視しているのが「具体化力」です。
実際に本書を読んでみると、「言語化のポイントは具体化にある」という著者の主張が何度も登場します。
私はこの部分を読んだとき、「確かにその通りだな」と強く納得しました。
なぜなら、新入社員時代に上司から最も多く言われた言葉が、
「もっと具体的に説明して」
だったからです。
今回は、本書の中でも特に印象に残った「具体化力」について、仕事でどう活かせるのかを考えてみたいと思います。
「もっと具体的に」はなぜ言われるのか
仕事を始めると、多くの人が一度はこんな経験をすると思います。
上司から進捗を聞かれて、
「順調に進んでいます」
と答えたら、
「順調ってどのくらい?」
と聞き返される。
あるいは、
「少し問題があります」
と伝えたら、
「何が問題なの?」
と聞かれる。
自分としては説明したつもりなのに、追加の質問がどんどん飛んでくる。
新人時代の私は、これがとても苦手でした。
しかし今振り返ると、その理由は単純です。
私が伝えた内容が抽象的すぎたのです。
たとえば、
「進捗は順調です」
という言葉。
一見すると報告になっているように聞こえます。
しかし実際には何も伝わっていません。
全体の何%完了しているのか
当初計画との差はあるのか
課題はあるのか
今後の見通しはどうなのか
これらが分からないからです。
つまり、「順調」という言葉は便利である一方で、情報量が非常に少ない言葉でもあるのです。
具体化とは「言葉の解像度を上げること」
本書では、具体化を「情報の解像度を上げること」と説明しています。
私はこの表現がとても分かりやすいと感じました。
スマートフォンで写真を撮ることを想像してください。
解像度が低い画像は、全体像は見えるものの細部がぼやけています。
一方、解像度が高い画像は細かな部分まで鮮明に見えます。
言葉も同じです。
例えば、
「会議が良くなかった」
という表現。
これでは解像度が低い状態です。
一方で、
「会議の目的が共有されておらず、参加者ごとの認識が揃っていなかった」
と言えばどうでしょう。
問題点がかなりはっきり見えてきます。
さらに、
「資料が会議開始5分前に配布されたため、意思決定に必要な情報を十分確認できていなかった」
と説明できれば、改善策まで見えてきます。
具体化とは単に言葉を増やすことではありません。
曖昧だった認識を明確にする作業なのです。
私たちは「分かったつもり」になっている
本書を読んでいて印象的だったのは、自分自身が理解できていないことは相手にも伝えられない、という考え方です。
仕事をしていると、
「なんか違う気がする」
「うまくいっていない」
と感じることがあります。
しかし、その原因を説明できないことも少なくありません。
私も以前は、
「この会議、何となく非効率だな」
と思うだけで終わっていました。
しかし具体化してみると、
会議の目的が曖昧
決裁権を持つ人が参加していない
議題が多すぎる
結論が決まらない
などの問題点が見えてきます。
つまり、
「何となく」
で終わらせるのではなく、
「具体的には何が起きているのか」
を掘り下げることが重要なのです。
仕事で使える具体化の型①「5W3H」
本書でも紹介されている考え方の一つが5W3Hです。
Who(誰が)
When(いつ)
Where(どこで)
What(何を)
Why(なぜ)
How(どうやって)
How many(どれくらい)
How much(いくらで)
仕事で報告するとき、この観点を確認するだけで説明の質が大きく変わります。
例えば、
「取引先から連絡がありません」
という報告。
これを5W3Hで整理すると、
「A社の担当者に3日前に依頼メールを送りましたが、まだ返信がありません。来週の提案資料作成に影響する可能性があります」
になります。
こちらの方が圧倒的に状況を把握しやすいですよね。
仕事で使える具体化の型②「なぜ?」と「例えば?」
私がすぐに実践できそうだと思ったのが、「なぜ?」と「例えば?」を繰り返す方法です。
例えば、
「新人研修は分かりにくかった」
と思ったとします。
そこで、なぜ?と自分に問いかけます。すると、
「専門用語の説明が少なかったから」
という答えが出るかもしれません。
さらに、例えば?と問いかける。すると、
「システムの名称が多数登場したが、概要説明がなかった」
という具体的な事実にたどり着きます。ここまで来ると、改善案も考えやすくなります。
これは報告だけでなく、問題解決や提案にも応用できる考え方です。
具体化力が上がると相談の質も変わる
新人のうちは上司へ相談する機会がたくさんあります。
そのとき、
「困っています」
だけでは良いアドバイスをもらえません。
一方で、
「取引先への資料提出が予定より2日遅れています。原因はデータ収集に時間がかかっていることです。私はA案とB案を考えていますが、どちらが適切か相談したいです」
と言えればどうでしょう。
上司は状況を理解しやすくなり、適切な支援もできるようになります。
つまり具体化力は、自分だけでなく相手を助ける力でもあるのです。
仕事ができる人は具体化が上手い
私は以前、仕事ができる人は頭の回転が速い人だと思っていました。
しかし今は少し考えが変わりました。
仕事ができる人は、
「状況の解像度が高い人」
なのだと思います。
漠然と問題を見るのではなく、
何が起きているのか
なぜ起きたのか
どうすれば改善できるのか
を具体的に考えている。
だから報告も相談も分かりやすい。結果として周囲から信頼されるのだと思います。
おわりに
『言語化大全』を読んで、私は「言語化は話し方の技術ではなく、考え方の技術でもある」と感じました。
特に具体化力は、新人が最初に身につけるべきスキルの一つだと思います。
報告が苦手な人も、会議で発言できない人も、まずは話し方を変える必要はありません。
その前に、
何が起きているのか
なぜそう思うのか
具体的な事実は何か
を整理する習慣をつけることができればそれだけでも、相手に伝わる言葉は大きく変わるはずです。
次回は、『言語化大全』の3つ目のステップである「伝達力」に焦点を当て、せっかく整理した考えを相手に伝わる形で届ける方法について紹介したいと思います。

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