AML/CFT
- のり
- 17 時間前
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皆さんは「AML/CFT」が何の略語で何を意味するかご存じでしょうか?私も数年前まではAMLという3文字を聞いたことがあるくらいでした。
AMLとは「Anti-Money Laundering」の略で、資金洗浄(※1)対策を意味します。
CFTとは「Counter Financing of Terrorism」の略で、テロ資金供与(※2)対策を意味します。
AML/CFTとは、資金洗浄やテロ資金供与などの不正なお金が取得されることを防止するための取り組み全般を指します(かなり意訳が必要ですね)。
2年ほど前から某メガバンクAMLシステムの開発・保守PMOをしているのですが、内製化の影響でそろそろお役御免になりそうでして、これを機にAML/CFTについての概要をまとめてみました。
AML/CFTを以降、AMLと省略します。
※1
資金洗浄とは、犯罪で得たお金を架空口座や他人名義の口座などを転々とさせることで
出所をわからなくし、正当な手段で得たお金に見せかける行為です。
※2
テロ資金供与とは、テロ行為やテロ組織の活動のために資金を調達する行為です。
1.AMLの実務
では、AMLでは何をやっているのかを見てみましょう。
AMLの実施タイミングには大きく分けて二つあります。
タイミング | AML種別 | 概要 | コメント |
取引前 | フィルタリング(スクリーニング) | 取引や顧客を制裁リスト・ブラックリストと照合し、該当する場合は取引を停止する。 使用するリスト例:国連制裁リスト、OFAC(※3)、EU制裁リスト、PEPs(※4)等 | トランザクションモニタリングは、取引後だから疑わしい取引を見逃してるじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、実際に発生した取引データを分析する必要があるため、後手になるのは仕方がありません。 |
取引後 | トランザクションモニタリング | 顧客の取引内容を継続的に監視し、疑わしいものを抽出する。 過去・現在の行動パターンを基にAI分析やルール(シナリオ)と照合した結果を最終的に人が確認する。 |
※3
Office of Foreign Assets Controlの略で、アメリカ財務省の制裁管理機関です。
※4
Politically Exposed Personsの略で、重要な公的地位にある(またはあった)人物を意味
します。
2.フィルタリングとトランザクションモニタリングのフロー
次にフィルタリングとトランザクションモニタリングがどのような流れで実施される
のかも見てみましょう。フィルタリングは一部の例外を除いて自行に閉じた話、
トランザクションモニタリングは疑わしい取引を銀行から警察庁へ提出する必要があ
ります。
フィルタリングのフロー例 |
ATMから振込入力あり |
↓ |
受取人名・口座などをフィルタリングシステムへ送信(犯罪組織に資金供給しないように、依頼人よりも受取人の素性が重視されます) |
↓ |
制裁・ブラックリストを基にフィルタリング実行 |
↓ |
制裁・ブラックリストにヒットしたら ・振込エラーや受付不可エラーを発生させる ・窓口対応へ誘導する |
トランザクションモニタリングのフロー例 |
日次で完了した取引のデータ収集 |
↓ |
疑わしい取引検知ルールとの照合 ・一定期間内に小口送金を繰り返していないか?(送金限度額規制回避疑義) ・過去平均の数倍以上の入出金が突然発生していないか?(不正資金流入・滞留疑義) ・しばらく低残高だった口座に突然高額入金されていないか?(休眠口座の不正利用 疑義) ・同一住所なのに複数人が送金していないか?(口座の使い回し疑義) |
↓ |
疑わしい取引検知ルールにヒットしたら ・定期的に結果をまとめて警察庁のJAFIC(※5)へ提出 |
※5
Japan Financial Intelligence Centerの略で、日本金融情報センターという警察庁の中に
ある組織です。
3.映画やドラマによく聞くやつ
映画やドラマでよく聞く送金先について調べてみました。
よく聞く送金先 | なぜよく聞くのか | 実際のところ |
スイス銀行 | スイスは顧客情報を絶対に守るという「銀行秘密法」という法律を制定しており、ここに入れておけば安全というイメージから映画やドラマでよく使われるようになりました。 | 以下の理由からマネロンに使い放題というわけにはいかず、絶対に秘密が守られる口座というのは映画やドラマ上の演出です。 ・現在は本人確認が義務 付けられており、銀行 は顧客の素性を把握し ている(昔も本人確認 はあったが、相当緩か った) ・国際規制(FATF(※6) )に参加しており、疑 わしい取引は報告義務 がある ・自動的に口座情報が各 国と交換され(CRS( ※7))、情報共有して いる |
ケイマン諸島 | カリブ海にあるイギリス領の小さな島で、世界有数の金融センターです。 以下の理由から資金洗浄の経由地として使われるようになりました。 ・法人税・所得税がない ・会社設立手続が簡素で すぐに会社を立ち上げ られる(ペーパーカンパ ニーも含めて) ・名義を工夫してオーナ ーを隠しやすい | こちらもマネロンに使い放題というわけにはいきませんが、左記の特徴は残ったままなので、スイス銀行よりはグレーに近い気がします。 ・こちらも国際規制(FATF )に参加しており、情 報開示の仕組みがある ・銀行口座開設には審査 があり、本人確認が義 務付けられている |
※6
Financial Action Task Forceの略で、世界のマネロン・テロ資金対策のルールメーカー
です。
※7
Common Reporting Standardの略で、各国が金融口座情報を自動的に交換する仕組み
です。
4.所感
今回、以下のような新しい発見がありました。
➀銀行からの疑わしい取引の報告先は金融庁ではなく警察庁である
⇒金融庁は疑わしい取引を直接分析はしませんが、以下のような点で銀行で実施され
るAMLを監督しています。
・届出件数が少なすぎないか?
・検知ルールは適切にチューニングされているか?
・見逃しや誤検知が多くないか?
②疑わしい取引を検知してもごく一部の関係者内だけで共有し、公表しない
⇒ティッピングオフ(※8)は法律で禁止されているとして、一般的に銀行内で周知
することもないというのは驚きでした。
いろいろと奥の深いAMLの世界ですが、せっかくなのでAML/CFTスタンダード試験
を受けてみようと昨年テキストを買ったものの、こんなことも覚える必要があるの?
という内容で学習を断念しています。AML関連の仕事からも離れますし、大量の暗記
が必要なテキストをもう開くことはないと確信しています。
※8
疑わしい取引の届出が行われたことや、当局の捜査・調査を受けている事実を、その容
疑者本人に知らせてしまう行為です。



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