ITコンサルは仕事を「自分で作る」もの-公孫鞅「徙木立信」に学ぶ、信用の育て方
- おばっち
- 2 日前
- 読了時間: 7分
こんにちは。おばっちです。
先日、社内のふとした会話で、「来月のお仕事は何やるんですか?」という問いをいただきました。それを聞かれて、はたと気づかされることがありました。
そういえばお仕事って自分で作るものだった
気づいたことは見出しの通りで、お恥ずかしい限りです。僕はこれまでの職では、事業会社のバックオフィス・経営企画畑を歩んできました。その頃は特に誰かに指示されて仕事をするということが無い立ち位置に居たもので、「仕事は与えられるものではなく、自分で見つけて大きくしていくものだ」という感覚が、自然とありました。誰かに用意された仕事をこなすというより、社内に課題の種を探して、見つけて、育てて、プロジェクトにする。そんな動き方をしていた気がします。
ですがITコンサルの世界に入って半年、目の前の案件に慣れることに気を取られ、いつの間にかこの基本的な意識を、失念していたことに気づきました。お仕事は用意されているものではなく、自分で開拓していくものである。当たり前のはずのことを、改めて思い出させてもらった会話でした。
そんな折、ふと思い至ったのが、古代中国・秦の政治家、公孫鞅(商鞅とも言われますがなんとなく自分はこちらのほうがなじみがあるので公孫鞅で。。)のエピソードでした。
秦という国と、公孫鞅という人
時は紀元前4世紀、中国は戦国時代。秦という西の辺境にある国がありました。今はキングダムで有名な秦ですが、今回の話は秦の始皇帝の頃よりちょっと前です。当時は辺境国でしたので、列強国から「夷狄(野蛮な国)」と見られていたようです。
その時の秦の君主・孝公は、この状況を立て直すため、身分を問わず広く天下に人財を求める「求賢令」という布告を出し、これに応じて秦へやってきたのが、今回触れます「公孫鞅」という人です。
色々あって孝公に見出された公孫鞅は、秦を強くするため、身分によらず功績で取り立てる、租税や兵制を一新するといった大改革=変法に着手することになります。
徙木立信-小さな約束から始まった信用作り
新しい法律は出来たものの、公孫鞅はこの時はまだ秦国内の官位としては中くらいでした。加えて「これまで法や約束がろくに守られてこなかった秦の民は、新しい法をすぐには信じてくれないだろう」という懸念がありました。
そこで、法を発布する前に、ひとつの仕掛けを打ちます。都の南門に、三丈(当時の単位でおよそ7m前後の模様)の木の棒を立て、「これを北門まで運んだ者には金十両を与える」という布告を出したのです。
簡単な作業に大きな褒美で、皆怪しんで手を出す者はおらず。すると公孫鞅は褒美を五十両に引き上げます。しばらくして、半信半疑ながらも一人の男が木を担いで北門まで運びました。公孫鞅はその場で、約束通り五十両を支払います。
この一件で、「公孫鞅は、言ったことを必ず実行する人だ」という信用が、秦の民の間に一気に広がりました。これが「徙木立信」というエピソードです。
その直後に新法を発布し、この法律はちゃんと守られそうだぞ、というイメージを見事に秦の民に植え付けました。実際のところ、変法浸透には他にも公孫鞅の苦労があったようですが、新法は大きな混乱もなく浸透していったようです。
公孫鞅はこの変法によって秦を強国へと押し上げ、始皇帝の中国統一の礎を築いた人物として、歴史に名を残すことになります。
ITコンサルにとっての「徙木立信」
公孫鞅は、いきなり法律を発布して無理に守らせようとはせず、まず、誰でもできるくらい小さな約束を、確実に守ることから始めた。その小さな信用の実績が、後の大きな改革を支える土台になったわけです。
これは、駆け出しITコンサルの僕も心がけるべきことだな、と思いました。駆け出しの僕は、お客様から自動的に案件をお任せいただけるわけではありません。最初は小さな気配りだったり、ちょっとした資料の手直しだったり。その一つひとつを、「言ったとおりにやる」「約束した期限を守る」。この積み重ねこそが、公孫鞅の「木の棒」なんだと思います。
そしてこの小さな信用の積み重ねの先に、「この人になら、もっと大きな仕事を任せてみてもいいかも」「この困りごと、あの人なら何とかしてくれるかも」という、大きな信用が生まれてくるのだと思います。
しかもこの信用は、一度きりで終わるものではなく、積みあがるほど効いてくるように思います。細かいことでも、一つ一つの積み重ねが、次のお仕事につながる信用となる。一度、お客様にいただいた言葉があります。「チャット1つでも丁寧だなあ」。この時、僕は一本棒を立てられたな、と思いました。そのようなお声がけが、次の木の棒を生み、次の案件を生み、そのうち「あの人に相談したいな」につながることを夢見ています。
小さな約束の積み重ねは、複利の効果を生み、それが大きな実りになるのだなと、ようやく半年強経った駆け出しが最近思うところです。
仕事は、待っていて降ってくるのを待つものではなかった。この小さな徙木立信から、自分で能動的に仕掛けていく。そこから始まるのだと、ふとした会話をきっかけに、あらためて実感した次第です。
「徙木立信」は演出ではいけない
しかし、注意したいのは、先ほどの徙木立信は演出的な雰囲気が見えますが、お仕事として信用を積み重ねていくときは、演出ではなく、心の中から湧き出てくるような真摯さが伴わないとよくないな、ということです。
公孫鞅は、新法発布の直前に徙木立信を仕掛けており、自身の立場や世論を鑑み、演出的な一手を打った、というのが何ともドラマチックです。が、僕のような駆け出しは、「信用を得る演出として一つ一つの業務に手を抜かない」だと、恐らくどこかでボロが出て、逆に信用を失墜させてしまう気がします。
ではなく、「一つ一つの業務に手を抜かない。なぜならそれがあるべき姿だから」という視座で、真摯に日々の業務をこなしていく。結果として信用が生まれる。一つ一つの業務に手を抜かない姿が演出であってはいけないな、と自分を戒めています。
駆け出しITコンサルが、今日から立てられる「木の棒」
とはいえ、「じゃあ具体的に何をすればいいのか」となると思うので、自分自身が気を付けていることを、いくつか挙げてみます。
・ふとした会話でも懇切丁寧を心がけ、書き間違え、表現不足(主語抜けとか)、乱暴な表現など混入しないよう気を付ける。
・期限を必ず守れるよう、期限の半分の時間で終わることを目標に計画する。
・期限の半分の期間まで来たら、とりあえず現状を見せて見通しを伝える。
・思いつく限り「こんなことやったらいいかも」(先回りした気づかい、リスクの早期共有)を添える。
・議事録やレポートは、言われてなくとも取って速やかに共有する。
・自分一人で抱え込まず、分からないことはすぐ確認するか社内に持ち帰る。お客様や自社の先輩に聞いて、なんとかお客様に価値ある形でお返しする。
・小さな約束(「明日までに確認します」レベル)ほど、確実に守る。
・お客様の「困ったな」を自分事として捉えて、解決策を提案する。
特別なスキルがなくても、この8つは今日から意識できるんじゃないかなと思います。まだ実績も経験も少ない今だからこそ、こうした小さな有言実行を、自分自身への戒めとして大事にしていきたいと思っています。
おわりに
公孫鞅は、法律という大きな制度改革の前に、たった一本の木の棒から信用を作っていきました。僕らITコンサルも、大きな成果の前に、まず目の前の小さな約束を、一つずつ守っていくところから始めるものだと思います。
あの何気ない会話から、良い気づきをもらいました。まずは目の前で「木の棒」を、一本ずつ立てていこうと思います。
相変わらずの乱文失礼いたしました。今回もお読みいただき、重ねて感謝申し上げます。

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